極真空手の道場では、稽古のときやふだんの生活の中で、「押忍」という言葉をつかいます。しかし、毎日のように使っているあいさつ言葉ではあるものの、多くの人たちは「押忍」の意味を知らないで過ごしているようです。

「押忍」とは文字どおり「押して忍ぶ」という意味を表しています。でも、それではよく理解できない人がほとんどでしょう。そこで、「押忍」についてもう少しわかりやすく説明をします。

皆さんも学校生活や勉強などをするうえで、ときにはつらい思いをしたりくやしいことに直面することがあるはずです。そんなとき決して逃げだすことなく、かといってただ我慢するのでもなく、「精一杯がんばって、いつか挫折を乗り越えよう」と心に誓い、謙虚な気持ちで耐える気持ちを表すのが「押忍」なのです。

いやなことやつらいがあったときに、逃げ出してしまうのは簡単です。しかし、逃げてしまってはなにも問題は解決することはできません。また、ただ我慢するだけでも同じです。

そうではなく、「絶対に負けるものか！」という気持ちを持って前向きにがんばる。そんな強い心を養うことが、極真空手を学ぶ本当の目的なのです。その意味で極真空手の精神を表す言葉が「押忍」なのです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ジュニア極真空手入門より

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　盧山　初雄著